〖報告〗
この度、三木市国際交流協会が、第56回「博報賞」(公益財団法人 博報堂教育財団 主催)を受賞されました。
国際文化・多文化共生教育の分野での取り組みが高く評価されたものです。
協会は、外国にルーツをもつ子どもたちが安心して学び、地域で成長できるように、日本語教室や体験活動を続けてきました。
学びを単なる知識の獲得としてではなく、「人と関わる力」を育むものと捉え、その環境をまちの中につくってきた姿勢が、今回の評価につながっています。
審査講評では、子どもたちが地域社会と交わる場を自ら設けている点、そして「Sコインプロジェクト」を通じて地域の人々と触れ合う機会を生み出していることにも言及があり、高く評価されました。
日本語教育にとどまらず、社会の一員としての成長を支える“関わりの教育”が、この小さなまちで確かに根づきつつあることが示されています。
Sコインは、そらまめの岡本富恵さん、三木市国際交流協会の河越恭子さん、そしてスキーレの山田勇人が携わりました。
三者が交わした小さな対話や、教育現場を訪ねて得た気づきの積み重ねから生まれたもので、多地域での取材を通して得た知見をもとに、この街に合う地域通貨の仕組みとして考案しました。
今後も、より多くの方に知っていただけるよう、さまざまな形で活動を続けていきます。
私は国際交流協会とSコインの取り組みを行う以前に、短編ドキュメンタリー『暮らす人』や配信番組『今、耳を傾ける』など、日本各地の多文化共生の現場を撮ってきました。
多文化共生と一口に言っても、それは特定の地域や制度に限らず、決して容易なことではありません。
この街で、年々増え続ける外国籍の移住者の生活に寄り添う活動が継続しているのは、三木市国際交流協会のスタッフの皆さん、そして現場で支え続けるボランティアの方々の尽力によるものだと感じています。
「知ろうとすること」をやめなければ、少しずつ確かな関係が築かれていく。
その積み重ねが今回の受賞へとつながったのだと思います。
大阪・関西万博のように、世界へ開かれた空気を感じる一方で、その明るさの影には、さまざまな課題や皺寄せも確かに存在します。
だからこそ、国籍や言語を越えて互いに理解しようとする営み——その現場を大切にし続けることが、今の社会において最も必要とされている希望のかたちだと感じます。
三木市国際交流協会の皆さま、受賞本当におめでとうございます。
SCIRE 代表 山田勇人
https://www.hakuhodofoundation.or.jp/prize/
https://www.hakuhodofoundation.or.jp/prize/recipient/img/hakuhosho_56th_list.pdf
博報賞とは、児童教育の現場を支援し、その活性化を目的として1970年に博報堂が設立した公益財団法人 博報堂教育財団により授与されるものです。
国内大学の教授、文部科学省の教科調査官から構成された審査員の推薦を経て選出されるもので、全国の教育現場における優れた実践を表彰しています。